杭瀬の巻

旧臈、生駒へ奔つた浦とし子が半月ぶりで又杭瀬へ舞ひ戻つた。島田姿のよく似合ふ左褄出身のアノ子が断髪して了つた。「なんで毛を切つた。」と気になる人がきくと、黙つて涙ぐんでゐた。なんでやろ。

古川綾子はピアノの菊地君と一緒になつたのでホールをやめた。赤新聞に菊地君は十何回目かの結婚と報道してあつた。

かうしたポピュラーなゴシップによつてさへ、その内状の並々ならぬものが想像される位だから、発表されないものに至つては押して知るべしではありませんか。

サテ、今回は以上で日本歓楽郷案内を終りますが、他の土地については今後とも機会あるごとに発表して行くつもりでゐます。