宝塚会館の巻

一ヶ月余もの長い間、ベッド生活で難病に呻いた萩原郁子、久しぶりでホールに出勤して

「宝塚のあの藪医者を一生恨んでやるわ」

と怨み言。と言つて色恋の沙汰ではなく、なんでも怪しい丸薬を呑まされたのが崇りで盲腸炎にかかつたのだと彼女は思ひつめてゐるらしい。